日照時間が長いことで知られている愛知県名古屋市を例に、年間発電量と売電収入の目安、太陽光発電の補助金について解説しています。
全国56の気象官署(気象台)による2008年から2012年の観測データでは、名古屋(愛知県)の年間日照時間は全国第5位、降水日数は4番目に少ないという結果が出ています。愛知は日本の中でも有数の太陽光発電設置に適した地域なのです。
国が運営する住宅用太陽光発電補助金制度の申請件数を見ても、愛知は7万7,741件(2009年~2013年累計)と全国で最も多くなっています。
太陽光発電の補助金には、国からのものと地方自治体からのものの2つがあります。さらに地方自治体からの補助金では、都道府県と市町村の両方から支給が受けられる場合があります。
それでは愛知県名古屋市で太陽光発電システムを設置した場合に、受けられる補助金の額と条件を見てみましょう。
国からの補助金は設置する太陽光発電システムの1kWあたり補助対象経費(太陽電池モジュール、架台、パワーコンディショナー、接続箱、直流側開閉機、交流側開閉機、設置工事費用の総額)の金額によって、2段階に分けられています。
補助金額 | ・1kwあたりの補助対象経費が41万円を超え50万円以下のものは1kWあたり1.5万円 ・1kwあたりの補助対象経費が41万円以下のものは1kWあたり2万円 |
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対象者 | 住宅に太陽光発電システムを設置しようとする個人)、法人または建物区分所有法に規定する管理者で、電灯契約を結んでいる者。 個人の場合は、国内クレジット制度に基づく排出削減事業等について実施に関する意思を表明することが必要です。 |
補助金額 | (1)市町村補助金額の4分の1 (2)1kWあたり3,500円×出力kW数(上限4kW) ※(1)(2)のいずれか低い方の金額 |
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対象者 | 愛知県内で自らが居住する住宅に設置する個人。 |
補助金額 | 1kWあたり1.2万円(上限5kW未満) |
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対象者 | 名古屋市内の自らが居住する住宅に、新たに太陽光発電システムを設置しようとする個人。 |
太陽光発電の導入では年間にどれだけの電力が作れて、売電するとどれくらい利益が出るかが気になるところです。
愛知県名古屋市の平均年間日照時間から4.0kWのソーラーパネルを設置した場合の、年間発電量と売電価格を試算してみましょう。
発電した電力のうち自家消費する電力を40%、電力会社に買取ってもらう余剰電力を60%として計算しています。
また買取金額は中部電力の2013年4月から2014年3月までの買取単価38円(10年間)を元にしました。
▽横にスライドできます。
設置場所 | 年間発電量 | 自家消費電力 | 余剰電力 | 売電金額 |
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愛知県名古屋市 | 4,500kW | 1,800kW | 2,700kW | 102,600円 |
以上のことから売電によって年間に得られる収入が、10万2,600円になることが解ります。
また自家消費した1,800kWも電力会社から購入する必要がなくなったので、この分の電気料金4万536円(1kWあたり22.52円)を加えると、年間で14万3,136円の利益が出た計算になります。
※あくまでも想定による計算上の利益であり、年間発電量と売電収入は天候状況や立地、買取金額によって変動します。必ず計算通りの利益がでるわけではありません。
太陽光発電システムを設置する、大きなメリットの一つである「売電収入」。
太陽光発電で発電された電力収入は、「電力受給契約」を結んだ際に提出する「電力受給契約申込書」に記載した口座に毎月振り込まれます。
ちなみに売電収入を得た場合でも、家庭での電気代が相殺されるということはありません。
売電収入は売電収入として口座に振り込まれ、電気料金は別途請求されます。
売電収入の振込は、月末締めの翌月払いになりますが、細かい振込日については地域によって異なるようです。
太陽光発電で発電された電力は、まず家庭で消費されます。
自分で「いくら分は売電して、いくら分は家庭で使う」と設定することはできません。
このため、売電収入を増やすには、まず家庭で節電をして、消費される電力を減らすことが大切になります。
発電量が少なくなると、電力会社から電力を買い取らなければなりません。
そこで節電は、さまざまな状況で効果を発揮します。
例えば電力が発電されにくい雨天などの悪天候の日や夜間なども、節電することで「買電」を抑えることができ、売電収入の向上につながります。
節電は、電気をつけっぱなしにするなど無駄な電力を使用しないことはもちろんですが、コンセントをこまめに抜くなども節電効果が期待できます。
最近はコンセントに「省エネモード」の機能がついているものがありますので、これらを活用するのもよいですね。
また、余裕があれば太陽光パネルを増設するのもひとつの方法です。
屋根だけではなく、カーポートにも太陽光パネルを設置することで、さらなる発電量が見込めます。
10kW以上の太陽光発電システムは買取期間が20年と長くなりますので、より長期間売電収入を得る可能性もあります。
太陽光発電システムによる売電収入の税務処理は、給与所得者と個人事業主で処理方法が異なります。
サラリーマンで給与所得を得ている人は、給与所得についての源泉徴収や年末調整を行ってくれますが、売電収入については手続きをしてくれないので、個人で確定申告を行います。
税金の対象となるのは、売電収入を含めて「雑所得」が20万円以上になった場合です。
10kW以下の太陽光発電システムで年間20万円以上の売電収入を得ることは少ないといわれていますが、そのほかに給与以外の収入を得ている場合、それらを含めた金額が20万円を超えると、税金の対象となります。
太陽光発電の確定申告は経費を計上することが可能です。
経費は太陽光発電の設備投資をした費用を充てることができ、経費は売電学と家庭で消費した電力の比率をもとに、「減価償却」を計算します。
仮に100万円の太陽光発電システムを設置したとして、発電量が1,000kWhで800kWhを売電した場合は、100万円の80%分となる「80万円」が売電のためにかかっている必要経費となります。
年間の売電計画と、減価償却した経費を差し引いた金額が20万円以下で、かつほかに給与以外の所得がないのであれば、確定申告の必要はありません。
個人事業主の場合も、売電収入において確定申告が必要な点は給与所得者と同じです。
しかし給与所得者は太陽光発電を含む雑所得のみ確定申告するのに対し、個人事業主は収入のすべてを含めて確定申告を行わなければなりません。
会社のように源泉徴収や年末調整を代行してくれる人がいないからです。
そのため、太陽光発電の売電金額が20万円以下であっても、必ず確定申告をする必要があります。
給与所得者と同じように、売電収入と減価償却費などを計算し、収入の内訳を「売電収入」として計算します。