太陽光発電を導入する際に確認しておきたいことのひとつに、太陽光発電の採算基準があります。太陽光発電を導入する際の初期費用やローン金利が高くて、節電や売電で得る利益を上回ってしまうなら、採算が取れているとは言い難い状況です。
純粋に自家発電の設備を設置したいというだけならいいのですが、やはり太陽光発電を導入するためには、採算ラインを知っておくべきでしょう。
では、太陽光発電の採算基準を確認するためには、どのような情報を調べてどう計算すればいいのでしょうか。まずは調べるべき情報から整理しましょう。
太陽光発電の採算基準を確認するために集める必要のある情報を順番に紹介します。
《太陽光発電関連設備の耐久性》
太陽光発電関連設備はいくつかの機器から構成されていますが、これらの設備が故障せずに動く期間は何年ぐらいなのかを確認します。とはいえ、基本的にこれらの機器は、メーカー保証が10年間ついているものが多いので、10年は修理費用が必要ないと考えて構いません。(一部、1年保証のものもあります)
太陽光発電の法定耐用年数は17年ですが、実際に稼働する年数は高価なソーラーパネルで20年と言われています。その他の機器は10年程度で通常の電化製品と同程度です。価格の高いソーラーパネルが故障せず稼働する期間を稼働年数として、ここでは20年を想定します。その他の機器の修理費は、事前に見積もって計算式に組み入れましょう。
《太陽光発電の初期費用》
太陽光発電の初期費用も算出する必要があります。これは実際にかかった費用を算出しておけば問題ありません。
《自治体からの補助金》
太陽光発電の補助金は、国からのものはなくなりましたが、自治体では今も補助金を出しているところがあります。補助金が出るなら、初期費用からその金額を引きましょう。
《太陽光発電(住宅用)の年間発電量》
全国の平均的な発電量は4,950kWと言われています。この値を取りあえず計算に用いましょう。
《自宅使用と売電使用の割合》
自宅使用と売電使用の割合は、だいたい3:7の割合と言われています。
《売電価格》
売電価格は年々低下しています。2018年度と2019年度の売電価格を紹介しますので、計算式で使用しましょう。
2018年住宅用:26円/kWh
2019年住宅用:24円/kWh※1
《節電して得た利益》
節電して得た利益は、「年間使用量×0.3×1kWh当たりの電気料金」で計算できます。1kW当たりの電気料金については、各電力会社によって違いますので確認しましょう。
《売電して得た利益》
売電して得た利益は、「年間使用量×0.7×26円(2018年住宅用売電価格)」で計算できます。
《太陽光発電購入ローンの借入金利と支払い年数》
太陽光発電システムをローンで購入する場合は、借入金利と支払い年数も出しておきましょう。
※1:2016年 経済産業省 ニュースリリース「再生可能エネルギーの平成29年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました」より
ここまでで、太陽光発電の採算性を計算するための情報を洗い出せました。これらの情報をもとにして、採算性の計算式を導き出しましたので説明します。
《太陽光発電設備を現金で購入した場合》
太陽光発電設備を現金で購入した場合の採算性を計算する式は以下の通りです。
(初期費用+設備の修理費用ー補助金)÷(節電して得た利益+売電して得た利益) ≦ 20
設備の修理費用が必要ない10年で考えるなら、
(初期費用ー補助金)÷(節電して得た利益+売電して得た利益) ≦ 10
《太陽光発電設備をローンで購入した場合》
太陽光発電設備をローンで購入した場合の採算性を計算する式は以下の通りです。
(節電して得た利益+売電して得た利益)ー ローン返済金 ≧ 0
以上の計算式に値を当てはめてみて、現在考えている太陽光発電の採算が取れるかどうかを試算してみてください。